HomeHome
移住史ライブラリIndex | 移住年表 | 移住地図 | 参考資料

入植80周年を迎えるアリアンサの近況

青年団の活動

勢揃いした第一アリアンサ青年団  移住地では毎年九月七日を中心に入植祭の記念行事を行っている。今年は大きな区切りの年だけに村の人たちの意気込みも違う。そんな中でも青年団の活動がなかなか活発である。

 第一アリアンサの入植記念日は、本当は十一月二十日なのだが、この時期はブラジルの雨期に当たるため、慰霊祭や運動会、盆踊り大会など野外での催しが出来なくなる可能性があるので、ブラジルの独立記念日の九月七日を振り替え記念日として行事を行なっている。

 その盆踊り大会、今年は青年団員としても活躍しているユバの若者達が、八十周年なのだから積極的に参加しようと、盆踊りの伴奏を自分たちでやろうとバンドを結成した。古くは、アリアンサの一世達のバンドが演奏していたが、最近は他の町のバンドに依頼するようになっていたからである。いずれも素人楽団ではあるが、長年やっているので、それなりに盆踊りの曲やリズムを心得ているから踊る側も安心している。しかし、今回は三世、四世の十代、二十代がソーラン節や炭坑節、花笠踊りを初めて演奏するのである。多少楽器が出来ても民謡のニュアンスを或る程度理解して演奏しないと踊りにならない。
 練習をし始めてある程度弾けるようになった頃、見に来ていた人たちから
「あれじゃ、盆踊りにならないよ」
「だいいち太鼓に花がない、花が」
などと厳しい批評を聞かされた。本人達も自覚していたのか、それからは他の町や村で入植祭がある毎に出かけていっては、その雰囲気、演奏を聴いて皆それなりに感覚を身につけ、何とかこなせるようになってきた。

 そしていよいよ当日。延べ三千人を超える来訪客を前に緊張の本番スタートした。前半の演奏が終わり、メンバー紹介をされると盛大な拍手が起こった。終演後、メンバー達はこの八十周年に限ってのバンド結成と考えていたので、やり終えた満足感と安堵感でホッとしていた。ところが、会長さんたちは「よかったよかった。本当に素晴らしかったよ。来年も頑張って下さいね」とおほめと激励を頂いた。村の人たちは当然来年以降はユバ・バンドが演奏するものと思っていた。

開演前に櫓(やぐら)の上で記念撮影

劇団公演主催

 十一月二十四日、日本から文化庁の派遣で劇団・1980が「ああ、東京行進曲」という素劇を持ってブラジル公演にやってくる。既に先乗りが二度ほど訪れて契約が交わされているが、この公演も、八十周年記念行事の一環として、青年団が主催することになっている。今までにアリアンサ主催で公演した舞台は、一九八六年四月にサンパウロの丹下節子劇団の「あばずれ」という時代劇を、当時青年団長だった弓場常雄(現ユバ協会会長)が青年団の活性化のために行った公演と、一九九四年九月に入植七十周年記念に文化協会が主催した現代座の「もくれんのうた」公演がある。共に会場はテアトロ・ユバであったが、観客は八〇〇人を超え、増設した客席にも入りきらないほどの大入り満員だった。
 あれからちょうど十年。何とか今回も大入り満員の客席で劇団を迎えようと意気込んでいる。四十人からの一行を受入れる宿舎の準備、会場作り、ポスター貼り、入場券も捌かなくてはならないし、歓迎会の準備もと、これもまた初めて取り組む大きな試みに、二十五名の青年団員が会議を繰り返し開き総力を挙げて取り組んでいる。

>次へ

Back home