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移住記念館

北原・輪湖邸の移築進む

移築作業

 北原・輪湖記念館の移築は順調とはいえませんが、まあブラジルらしくは進んでいます。今日、一九九八年十一月二十五日、やっと上棟式を済ませたところです。北原邸の解体は六月二十二日からはじめ、四日間で終了、輪湖邸も六月二十九日からかかり、七月二日に終了しました。解体そのものは簡単でしたが、大変なのは釘抜きでした。何しろ古い建築であり、日本の大工の仕事なので、現在のブラジルの住宅などとは比べものにならないほど釘を使っています。普段やらない作業なので、みんな身体の節々が痛んだようです。

 建設地の地ならしはミランド・ポリス郡役所のトラクターが来てやってくれました。ミランド・ポリスという街はアリアンサ移住地のために生まれた街ですから、アリアンサの文化財はミランドの文化財でもあり、郡役所も協力的です。

 できるだけ忠実に復元したいとは考えていますが、やはり棟木や根太はかなりシロアリにやられていて、そのままでは使用できません。細くしたり、新しく調達しながら組み立てています。ブラジル人大工のファリアは、そんな面倒くさいことをしなくても新しいものを買えばいいではないかと首をかしげるので、その都度事情を説明し、少々手間や金がかかってもできるだけ元のままの材料を使いたいのだと説得しています。

 先日、偶然アリアンサ七区に住んでおられる小野さんのおばあさんから、北原地価造さんの家が建ったのは自分の娘が生まれた一ヶ月前だったから、昭和四年(一九二九年)の六月だと教えていただきました。輪湖俊午郎さんの家はその前の年だそうですから一九二八年ということになります。灯台もと暗しで、木村さんとあれだけ調べてわからなかっただけに、本当にうれしかったです。

 二世、三世の代になると日本語が読めませんから、自宅にある貴重な資料が捨てられてしまうことも珍しくありません。資料の調査を急がなければなりません。

一九九八年十一月二十五日
アリアンサ・ユバ農場 矢崎正勝


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