日本は自然豊かな国でした
日本の自然は
人間が深くかかわりながら育ててきた自然です
けれど今では山も川も荒れ果て
自然を支える水も失われつつあります
彼は自然と共に生きた時代を知っています
でも、それは貧しい時代だと人は言います
いいえ、豊かな自然が心を支えた時代でした
彼はすっかり年老いてしまったけれど
豊かな水の心を探そうと決意します
人は時代から捨てられた夢だと笑うけれど
時代が見捨てた森の中には
きっと水の心が生きているはずです
水を探し、小さな畑を耕す夢を見ながら
彼は精一杯生きるのです
木村 快
T市の観光課にミツコと名乗る日系ブラジル人の若い女性が「谷山村へ行きたい」と訪ねてくる。旧谷山村は山間の僻地で今は無人地区である。戦前に谷山村からブラジルに移住したミツコの祖母が、故郷の村の「約束の水」という湧き水を恋しがりながら息をひきとったと語り、その泉を一目見たいと言う。そこで谷山生まれの広報課職員ミキは幼なじみの靖夫に声をかけ、ミツコを谷山地区に案内することになる。
山奥の谷山地区へ入ってみると、なぜか街で暮らしているはずの靖夫の祖父、山中三郎が畑を耕していた。三郎は、長い間寝たきりの妻チヨを介護していたが、チヨが亡くなると時折一人でどこかへ出かけるようになり、周囲を心配させていた。三郎は昔住んだ山の家を手直しし、かつての集落の跡に案内板を立てながら、昔の記憶を呼び戻そうと努力していたのである。
三郎は「約束の水」のありかを尋ねられるが、どうしても思い出せない。だが、この村を終生恋しがったというミツコの祖母の話を聞き、なんとかしてその泉を探してやりたいと思う。
そこへ靖夫の父啓一と母のよし子、林業作業士の竹田が三郎を連れ戻しにやってくる。よし子は出来ることなら三郎の思うようにさせてやりたい。山で林業に従事する竹田も、自然から遠ざけて年寄りを保護することには後ろめたさを感じている。だからといって放置することもならず、頭を抱える。
しかし、年老いた父親を無人地区に放置する親不幸息子と噂された啓一は、なんとしても親父を連れて帰ると息巻いている。
三郎は啓一の説得を無視し、ミツコを連れて泉探しに出かけようとする。それを押しとどめようとする啓一と争ううちに、三郎ははずみでひっくり返ってしまう。
「もう駄目だ!……」
やっと起き直った三郎の目には涙がにじんでいた。
そのときミツコは「おじいさんと出会っただけで、おばあちゃんはとっても喜んでいると思います」と礼を述べ、「これはおばあちゃんの形見です」と青い小石を差し出した。
その青い小石を受け取った瞬間、三郎はその小石が小学校の近くにあった「約束の水」の水受け場のものであることを思い出す。ブラジルへ行く同級生の女の子のために、その泉の前でお別れの会をした情景がよみがえってくる。在りし日の村の暮らしを語る三郎の顔は輝いていた。ついに啓一も「父さん、その泉を探そう」と言いだす。一同は三郎の記憶を辿って泉を探し始める。
山中三郎 | 三郎の息子 啓一 |
啓一の妻 よし子 |
日系ブラジル人 ミツコ |
三郎の孫 靖夫 |
市役所職員 ミキ |
林業作業士 竹田 |
今村純二 | 寺崎昌広 | 木下美智子 | 矢川千尋 | 八木浩司 | 東 志野香 | 黒澤義之 |
作・演出 | 木村 快 | 音楽 | 岡田京子 | 美術 | 出川三男 |
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演出助手 | 西河 大 木下敬志 |
照明 | 澁谷博史 高橋康孝 木村康恵 |
月 | 日 | 曜 | 開演 | 公演地 | 会場 | 主催 |
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12月 | 5日 | 金 | 19:00 | 東京都 | 現代座ホール (東京都小金井市緑町5-13-24) |
NPO現代座 |
6日 | 土 | 14:00 | ||||
7日 | 日 | 14:00 | ||||
8日 | 月 | 14:00 |
※各回80名の予約制です。
■参加費 一般3,000円/小中高生1,000円
■お申し込み・お問い合わせ
TEL:042-381-5165 FAX:042-381-6987