NPO現代座 設立の趣旨

(所轄庁への設立申請文書より)

 現代座劇場文化研究所(2003年7月、NPO現代座に改称)は、地域と共に「心の響きあう場」としての劇場での演劇上演事業を「劇場づくり」と呼び、これを研究し実践する集団です。それは、俳優中心の劇団が公演をして歩く演劇活動と違い、地域の人たちと一緒に劇場をつくることを目的とする専門集団でありたいということです。

 もともと劇場という場は日常とは一線を画した場であり、準備のすすめ方によっては日常社会では見失いがちな大切な問題を、今一度いっしょに確認できる場です。人々が一堂に会して無心になる瞬間をつくり出すことは、古来から地域のきずなを確かめ合う場として大切にされてきました。

 しかし、そうした場は現代社会では決して自然発生的には生まれません。いまではただ上演のための段取りにすぎないと考えられている準備活動も、周囲の人に語りかけ、お願いし、劇場に足を運んでもらう事業と考えるなら、人と人との新しい関わりを生み、地域の未来を考えあう場となり、それが新しい文化を生み出す「創造活動」になるはずです。

 都会の消費的な演劇ではなく、地域と結びついた劇場づくりをすすめ、地域の人々と一体化した演劇活動を実現することは、地域のきずなを育てるための協同精神を培い、きずなづくりをすすめる一助になると思います。
 わたしたちは演劇の上演は専門家の仕事という考え方を捨て、「劇場づくり」に関心を持つ人なら一般の生活者でも参加できる集団を目指し、専門家と素人という壁を取り払いたいと考えています。同時に、日本演劇の現在の状況に悩んでいる多くの専門俳優やスタッフにも参加を呼びかけ、劇団の枠を超えて一緒に新しい演劇を創造し、より多くの人たちと「現代が求める劇場をつくりつづけたい」と考え、ここに特定非営利活動法人を設立することと致しました。

特定非営利活動法人 NPO現代座
代表者 木村 快