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誇りを持って日本との絆を伝えていきたい

第一アリアンサ 新津英三

田中知事と新津英三氏写真:田中知事と新津英三氏。新津氏はアリアンサ移住地の長老的存在。
「珈琲(コーヒー)より人を作れ」は昭和七年、アリアンサの苦境を打開するためブラジルへ渡り、開拓民と共に奔走した永田稠日本力行会長の住民激励の言葉。

 今回のアリアンサ開拓八十年祭に田中知事は、「私が行く、ユバのバレエを観る」と自ら進んでお出でになったと聞いております。そして、式典に於ける挨拶の中で、日本を、長野県を改めて見つめ直す旅であると申されていました。

 アリアンサの過去、現在のことも大変詳しく調べておられ、今何をなすべきかを確かめにお出でになったのだと感じました。長野県に働きに行っている、ブラジル国籍の子供達の教育に手厚い援助の手を差し伸べ、そしてまた、ブラジルにおける日系子弟の日本語教育にも気遣って下さり、予てより念願の、日本語教師派遣を約して下さいました。更に、知事は現在アリアンサが抱えている問題すべてに言及され、その解決に意欲と御配慮を示して下さいました。誠に有難いことであります。

 とりわけ私ども一世の開拓者が感激したことは、アリアンサ創設の精神を誤り伝えている「長野県の歴史」の件についても、改めて検証する必要があると申されたことです。日本は、否アリアンサの生みの親である信州信濃はわれわれ移住者を見捨ててはいなかった。この日本との絆を、私どもは誇りを持って伝えていくことが出来ます。

 唯、私が心配なのは、このような知事のお志に対してアリアンサ側がどのように応えていくことが出来るかです。知事は、日本語教育を通し、日本文化をブラジル人の間にも広めていくべきである。さもなくば、外国に於いて日本語を学ぶ意味がないと申しておられました。このことを二世、三世の父兄の諸君に深く理解して欲しく、また進んで協力して欲しいと願うのであります。

 二〇〇四年十二月四日


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