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NPO現代座
日伯のきずなを探る「約束の水」を上演

 NPO現代座では2004年10月29日から11月7日まで東京都小金井市の現代座会館ホールで木村快作・演出の「約束の水」を上演しました。
 「約束の水」の舞台となる場所はアリアンサ誕生の貢献者、永田稠、輪湖俊午郎、北原地価造らの故郷でもある信濃(長野県)の山奥の無人となった村です。

ものがたり

 ミツコは日系ブラジル人。祖母から、日本という国は人々が山や森や水に囲まれて暮らす国だと聞いていた。その祖母も故郷の村の「約束の水」という湧き水を恋しがりながら息をひきとった。ミツコは意を決して祖母の国を訪ねてみたが、そこにはもう祖母から聞いていた日本の姿はなかった。約束の水を一目見たいと祖母の故郷を訪ねるが、そこももう無人地区になっていた。
 ミツコはそこである家族の一団と出会う。家族に無断で山に舞い戻った年老いた父親を連れ戻すのだという。だが説得する家族には心を閉ざす老人が、なぜかミツコのくちずさむ歌に心を動かされた様子だった。
 その歌は昭和十二年にブラジルへ移住した祖母が終生口ずさんだ歌だった。だが、老人はその時代のことがどうしても思い出せない。老人はミツコのためになんとか「約束の水」を探してやりたいと思うが、家族は猛反対である。老人はすでにぼけが進行していると心配されていたからである。
 ミツコは老人のその気持ちだけでうれしかった。感謝のしるしに祖母が大事に持っていた青い小石を記念にと一つ差し出す。その青い小石を受け取った瞬間、老人はその小石が「約束の水」の水受け場のものであることを思い出す。ブラジルへ行く同級生の女の子のためにお別れの会をした情景がよみがえってくる。そんな老人の姿をみて、家族もこれまでの行きがかりを捨て、老人と一緒に「約束の水」をさがしてやろうと思い始める。
 一人の日系ブラジル人との出会いが、破たんしかかった家族に、思いがけない形できずなをよみがえらせることになったのである。

>NPO現代座「約束の水」紹介へ

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